歯周病の治療
歯周病の初期治療とは
- 問診
- 歯周ポケット測定
- ブラッシング指導
- 歯周ポケットクリーニング
- 再評価
まずは問診を行います。お口の中で気になっていること・困っていることはないかを確認します。例えば…
- しみる歯がある
- 噛むと痛む歯がある
- 歯を磨くときに血が出る
など。健康状態や生活習慣をお聞きして、歯周病や虫歯のリスクの大小も確認しておきます。
次に、歯と歯ぐきの溝=歯周ポケットの深さを一本ずつ測定していきます。そのときに以下のチェックも行います。
- 歯肉の炎症部位
- 歯周ポケットからの出血や排膿の有無
- 動揺度(歯のぐらつき)
- 知覚過敏(しみる所)
これらをチャートに記録していきます。
ここで私が大事だと思っているのは、その結果をきちんとお伝えすることです。
どこの歯ぐきが炎症を起こしているか、どこの歯周ポケットが深いのか。チャートをお見せし、それから手鏡を使って直接見ていただきながらお伝えします。なぜかというと、歯周病は歯科医院の椅子で口を開けていれば治るというものではなく、患者さん自身の努力なしには改善されないものだからです。
次に、その方のお口の状態に合った正しい歯のみがき方、補助用具(歯間ブラシやデンタルフロスなど)の使い方などをお伝えします。
その約1~2週間後、歯周ポケットの中のクリーニングを行います。これは歯石を取るなどの処置です。期間をあけるのは、歯ぐきの炎症がある程度落ちついてからの方が、痛みや出血が少なく処置できるからです。
歯石は1~2回で取れる場合もありますが、歯ぐきの中に歯石がたくさん付いている場合は4~6回ほどかかる場合もあります。 歯周ポケットが深く痛みがある際は、麻酔をして行います。
来院時は必ず歯みがきのチェックをします。歯石を取ればある程度は良くなりますが、もしきちんと磨けていなければまたすぐにもとの状態に戻ってしまうのです。
約1ヵ月後、再評価といって歯周ポケットの検査をします。深かったポケットが浅くなり、血や膿が出ないことを確認します。
状態が安定したのを確認し、メインテナンスへと入っていきます。
歯周ポケットはなぜ浅くなるのか?
歯根の周りの細菌性物質(歯垢や歯石)を取り除くことで、歯周ポケット内の環境が良くなります。そうなると炎症の治まった歯肉内面と、きれいになった歯根面がくっつこうとするんです。(上皮性付着といいます)
その結果、歯周ポケットが浅くなり、歯周病の進行はストップします。
細菌から逃げていた骨も、逃げる必要がなくなります。元の健康なレベルにまでは戻りませんが、骨密度が増すので結果的に歯の動揺が改善されるのです。
歯周病の治療にあたっては、お口の中の状態や年齢、手の器用さなどを考慮して、その方に合ったいちばんいい方法を探していきます。
あたりまえのことのようですが、これをきちんとしている歯科医院は、あまり多くはないのが現実です。30年前よりはだいぶ増えたようですけどね。
歯周病の治療は、自費診療のところと保険診療のところがあります。
- 自費診療ではだいたい1回につき¥5000~¥10000
- 保険診療ではだいたい1回につき¥1000~¥3000
といったところでしょうか。 ご参考までに。
歯周病の治療で大切なこと
- 正しい歯みがきをすること
- 歯周ポケット内の歯石をとること(専門家・歯科衛生士のクリーニングを受ける
)
- 歯と全身はつながっていると知ること
- 生活改善をすること(食、睡眠、ストレスなど)
« 知ってるようで知らない歯周病 〜歯周病を予防するには〜 | トップページ | 奥歯のだいじな話 »
「1.歯周病」カテゴリの記事
- 歯ぎしり・食いしばりの患者さんにお伝えしていること(2024.05.15)
- 治療して肉が噛めるようになった!(2024.01.22)
- 歯周組織を科学する!(2021.03.15)
- 顎骨壊死で入院!(2019.07.14)
- 年齢とともに歯ぐきが下がるって本当?(2018.12.11)
プログを拝見させて頂き、どれも凄く勉強になりました。
それに治療に対して熱心な姿勢に心打たれました。
大阪在住のため、通える距離だったら…と残念でなりません。
私も6月末に歯周病と診断を受けました。
奥歯7番が歯槽膿漏で近い将来抜く事になるでしょう。
と言われ、ショックと歯が抜ける恐怖で本当に心が参ってしまいました。
歯周病の知識も教えてくれないし、歯磨き指導もない、
歯石取りも見える部分だけしかしてもらえてないように思います。
ちなみに歯周ポケットは4~5mmだそうです。
こちらから質問しない限りポケット深さすら教えてもらえない状態です。
今は奥歯7番の歯と歯茎の境目に口内炎のようなものができ、
先生に診て頂いても気にし過ぎ。と言っておしまいで治りません。
今のままで大丈夫か不安で、歯周病専門医に転院しようか迷ってます。
歯医者恐怖症なので本当に参ってます。
こんなコメント送ってすみません。
どうしても専門の方に聞いて欲しかったので。
自分の歯を失いたくないです。
投稿: M・N | 2014年9月30日 (火) 22時21分
ブログを読んでいただきありがとうございます。
この度は、突然「歯周病です。さらに近い将来奥歯を抜くことになる。」と言われ
ショックを受けられたのですね。
30代、40代では4~5mmのポケットは8割以上の方がどこかしらにあるものです。
ただ、それを皆さん知らないだけなので、ある日、歯医者さんに突然そう言われてビックリされるんですよね。
5mmあるからといって、近い将来抜歯ということは全くありません。
うちの息子(19歳)も先日久しぶりにポケット検査をしたところ、
右下7番舌側に5 mmのポケットがありました ^^;
ちなみにそこは超音波スケーラーで綺麗にして、
あとはハブラシをきちんと当ててネ!で様子見です。
7番の口内炎のようなものは、もしかしたらフィステルかもしれません。
歯根に細菌感染があったり、歯周病が原因の事もあります。
近い将来抜歯をしなければいけない原因は、何かそのあたりにあるかもしれないですね。7番だと8番(親知らず)が原因の歯周炎かもしれません。
私の勤めている診療所に初診で来られて、歯周病について話を聞いたことがある、
歯周ポケットを詳しく測ってもらったことがあるという方はほとんどいません。
都内でもこんな現状です。
ですので、歯周病学会もしくは臨床歯周病学会のホームページからお近くの歯科医院を検索して通われた方がいいかもしれませんね。
自分の歯がいちばんですので、是非これからも大切にしてください。
また何かありましたら、お気軽にコメントしてくださいね。
では、お大事にどうぞ。
投稿: | 2014年10月 1日 (水) 15時09分