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2013年9月 4日 (水)

知ってるようで知らない歯周病 〜歯周病を予防するには〜

Periomaintenance

歯を磨くと血が出たり、歯ぐきが腫れたり、歯がグラグラしたりするのが歯周病だと思っていませんか?

しかしそうなってしまっては、もう末期の状態の歯周病かもしれません。 血がでる症状は初期の頃にもよくありますが、歯医者さんに行こうと思うほどの状態になった時には、歯周病はかなり進行していることが多いのが現実です。

歯周病になっている歯があるかないかを調べるにはどうすればよいのでしょうか?

初期から中期の歯周病では自己診断は難しいでしょう。

なぜって?それは自覚症状がほとんどないからです。

では、どうすればよいか?

迷っていないで歯医者さんに行きましょう。

歯科医院では初診時に、パノラマ撮影といってお口全体が把握できるレントゲン写真を撮ります。歯に対して周りの骨がどれくらいあるかがわかります。しかし、これは二次元画像なので、歯を支える周りの骨すべての状態まではわかりません。

そこで目盛りの付いた器具で歯周ポケットを測り、歯の周りに深い溝がないかを確認していくのです。

歯周ポケットとは

歯と歯ぐきはピタッとくっついているように見えますが、必ず1~2mmの溝があります。歯の周りにぐるりと一周、物が入り込む隙間(ポケット)があるんです。

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歯周病になるとこのポケットがだんだん深くなります。

  • 3~4mmは軽度
  • 4~6mmは中程度
  • 6mm以上だと重度


歯周病の進行について
簡単にお話しします。

ブラッシングが行き届かないと、その箇所に歯垢=プラークが付きます。

プラークは、ただの食べかすにも見えますがそうではありません。歯の表面についている唾液中のたんぱく質(ペリクル)を足場に、口の中の細菌が集まってできたものなんです。

まずプラークがついている部分の歯ぐきが炎症を起こします。 炎症とは、赤くなる・腫れる・血がでる・痛みがでるなどです。

口の中は暖かく湿っていて食べものもあり、その環境が細菌は大好きです。そして、だんだん数や種類を増してくるんです。

やがて歯ぐきが炎症を起こします。この炎症は、毒素や酵素を出す細菌に対する生体の防御反応なのです。人間のからだは良くできていますよね。プラークという細菌を中に入れないよう、そこへ血液の成分が集まってくるんです。歯ぐきが炎症を起こしているところには必ずプラークがあります。

ある程度は歯肉炎(歯ぐきのみの炎症)状態でとどまりますが、いずれは周炎へと移行し、歯の周りの組織(歯根膜や歯槽骨)が減っていきます

初めは1~2mmだった健康な歯肉溝(ポケット)が3mm、4mmとだんだん深くなっていきます。その深くなったポケットの中にプラークが入り込みます

プラークは2~3ヶ月で歯石になります。歯周ポケット内の歯石はとても硬くデコボコしているので、歯ぐきを内側から刺激することとなり歯ぐきを痛めるのです。

歯石の表面には細菌もついています。 歯周ポケット内では酸素を嫌う嫌気性菌が繁殖し、それが歯周病を進行させる直接の原因となります。

歯周ポケットが深くなると、歯槽骨という歯を支える骨に影響が出てきます。破骨細胞という細胞により徐々に骨は破壊されます。人間の骨は、病気の部分からある一定の距離を保とうとするんです。もし破壊されないと、細菌が入り、骨髄炎などの重い症状になってしまうんです。

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目安として、歯周ポケットが3~4mmだと軽度、4~6mmは中程度、6mm以上だと重度の歯周病になります。

6mm以上の歯周ポケットが存在すると、口臭を伴うことがほとんどです。重度の歯周病では、細菌と白血球が戦った結果、膿が出ます。その膿が口臭の原因となります。

また10mmを超えると、抜歯となるケースが多くなります。

※歯周ポケットの深さは、歯ぐきの下がり具合、骨のなくなり具合を考慮する必要があります。歯の根っこに対して周りの骨が少なければ、ポケットが浅くても気をつけなければいけません。 逆に歯の根っこに対して周りの骨が充分にあれば、ポケットが多少深くてもそれほど心配しなくて大丈夫なのです。

 


歯周病を予防するには

歯周病にならないようにすることは、実は簡単なのです。

細菌が繁殖しないように、プラークを定期的に取り除けばよいのです。虫歯や歯周病をはじめとするあらゆる口腔疾患は、プラークがなければ、発現も進行もしません。

定期的というのは、丁寧なブラッシング(自分でする歯磨き)を最低1日1回と、歯科衛生士によるクリーニングを3~6ヶ月に1回ですね。 歯周ポケットも半年~1年に1回はチェックしてもらうと安心です。

歯周病はならないようにするのは簡単なことと言いましたが、いくつか注意が必要です。

  • 全身疾患があると、歯周病は進行しやすくなります。特に糖尿病など、細菌に対する抵抗力が衰える病気があると進行しやすいんです。
  • 遺伝的に進行が早いと思われる人もたまにみかけますね。ご両親どちらかが早い時期に総入れ歯になった、なんていう人はよく注意された方がいいと思います。
  • あと歯周病のリスクが高いのは、たばこを吸う人。たばこを吸っていると末梢への血流が悪くなり、細菌がいても戦えないのです。さらに歯磨きで血が出ないので安心してしまうんですね。 安心してしまい、知らない間に重度の歯周病になっていた、なんていうこともかなりありますよ。
  • 歯ぎしりくいしばりをする人も注意した方がいいですよ。実はほとんどの人がしていますが、自覚していません。これらは歯周組織に大きな負担をかけます。
  • 咬み合わせの問題も重要です。咬合性外傷といって、咬み合わせの不具合により歯周組織に負担がかかり、歯周病を進行させてしまうことがあります。
  • 歯周病の進行はストレスとも多いに関係しています。 精神的ストレスや過労、不規則な生活、風邪など、からだの抵抗力が弱まったとき、歯ぐきの方も細菌と戦う力が弱くなります。歯周炎はそのようなときに進行してしまうのです。

歯ブラシが届かない所は、だいたいいつも同じ所ですよね。歯ブラシだけで磨いておしまい、なんていう人はたいてい、歯と歯の間にプラークの取り残しがあります。歯の表がわは良く磨くけど、裏はテキトー、なんていう人もたくさんいらっしゃいます。

1日1回、朝だけ磨くという人も要注意!お酒を飲んで歯を磨かないで寝てしまう人のなんと多いことか! 寝ているあいだは唾液の量も少なく細菌が繁殖しやすいんです。


歯周病は、平穏期と進行期をくりかえし階段状に進行してゆきます。

自覚症状が出にくい。

出てからの進行は早い。

気づいたときには遅いかもしれない。

そんな歯周病は、予防するのが何より大切ですね!

 

万が一なってしまったら…

→「歯周病の治療」をご覧ください。


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