口と全身、全てはつながっている
歯周病にかかっている歯の歯周ポケット内には歯周病菌が存在しています。
レッドコンプレックスといわれる歯周病との関連性が最も高い3菌種で
通称はP.g菌、T.d菌、T.f菌といわれています。
・Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)
・Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)
・Tannerella forsythensis(タネレラ・フォーサイセンシス)
歯周病を放置していると歯周ポケットの内側の粘膜から、歯周病菌は血管内に入り込みます。
歯ぐきには毛細血管が張りめぐらされているので、細菌は、簡単に血管の中に入り込むことができます。
いったん血管の中に入り込んだ歯周病菌は、全身をかけめぐるのです。
普段は免疫の力で歯周病菌を排除しますが、抵抗力が衰え排除しきれないときもあります。
また、歯周病菌の死骸の持つ内毒素は残り悪影響を及ぼします。
その結果、からだのさまざまな部分で病気を誘発してしまうのですね。
心臓外科医で有名な南淵明宏先生が、テレビ番組に出演されておっしゃっていました。
『急性心筋梗塞で運びこまれてくる人たちを見ていると、かなり重度の歯周病の人が少なくないという印象を受ける』と。
何気なくおっしゃっていましたが、私はこれを本当に重大な事と受けとめました。
口の健康を保つことは命にも関わる重要な使命であると。
南淵先生は、歯科医師との対談では、こんなこともおっしゃっていました。
「 実際に心臓の外科手術時の冠動脈壁の組織片を分析してみると、通常はありえない歯周病菌がそこから見つかった。」
「 歯周病菌が見つかったからといって、それが病変の結果なのか、あるいはそもそもの原因になのかはまだわかりません。」
「 しかし、歯周病菌がそんな場所にあること自体がこれまでの常識を覆すわけで、両者の密接な関係はそれだけでも十分に想像がつく。」と。
さらにこんなことも…
「 とにかく歯周病菌とあらゆる病気との関係を改めて調べてみると、宝庫のようにいろいろなことが出てくると思います。」と。
歯周病が、高齢者の呼吸器感染症や動脈硬化、さらには糖尿病や未熟児出産など、さまざまな病気と密接な関係にあることが検証されています。
逆にいえば、日常的な全身の健康や病後のリハビリなどにも、口腔ケアが有効だという重要な事実がその研究からわかってきているんです。
南淵 先生いわく「ところがそういうことは、医師になるための教科書にはまったく書いてない(笑)」
書いてないけれども、日常の診療や手術などの経験を通して、「これは、なぜなのか?」「ひょっとすると、こうなのではないか?」というようなサイエンティフィックな探究心は当然、普通なら出てくると思うんです。と。
はたして歯科の先生で、ここまで真剣に歯周病というものを受けとめている方がどれだけいらっしゃるか!
日々の診療に追われている、忙しい先生がほとんどなので、とても心配になってしまいます。
もちろん、先生ではなく患者さんのことがです!
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