インプラントを長持ちさせる方法!
インプラントは入れておしまいではなく、入れてからのケア・メインテナンスがとても重要になります。長持ちさせるのもダメにするのも、お手入れにかかっているのです。
インプラントも天然の歯と同じように、磨けていないと歯周病になります。そしてその進行は天然歯よりも早く、あっという間に手遅れとなってしまうのです。インプラント周囲の方が、血行が悪く細菌に対する抵抗力が弱いからです。さらに、いったん歯周ポケットが深くなると回復しづらいのです。
きちんと磨いて、メインテナンスも忘れずに受けていれば、安心です。天然歯と同じように使えて出し入れの不自由もなく、とても良いものですよ。かみ合わせの不具合などのアクシデントがない限り、非常に長く機能してくれます。
家で行うホームケアと、歯科医院で行うメインテナンスについてそれぞれ紹介していきますね。
まずホームケアについてです。
インプラント体の周囲(歯ぐきとインプラントの接している部分)に清掃用具が届くように磨くというのが基本です。
ハブラシで表・裏・側面が届くようであればいいのですが、何らかの補助用具を使わないと磨けないケースがほとんどです。
そのうちのひとつとしてまずは歯間ブラシですu。インプラントを傷つけないように、ワイヤーをウレタンコーティングしたものもあります。歯間ブラシが通れば、簡単に磨けると思います。
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上部構造の形により、歯間ブラシが入らないこともあります。そのようなときはスーパーフロスを通し、巻きつけるように磨いてあげます。タフトブラシという毛先が小さいハブラシでお掃除をしてもいいと思います。いずれも歯科医院で購入できますが、できれば歯科衛生士の指導のもとに使われることをおすすめします。
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インプラントを入れている方で「磨き方は特に教えてもらわなかった」という患者さんが来院されます。実はそういう方を何人もみてきました。なぜ、インプラントを入れた患者さんにきちんと磨き方を教えないんだろうと不思議でなりません。毎日のケアが大切だということ、歯科医師・歯科衛生士は充分に理解していると思うのですが‥‥
次に歯科医院でのメインテナンスについてです。
インプラント体と上部構造にぐらつきはないか、インプラント体周囲の粘膜に異常がないかを確認していきます。
次にインプラントを傷つけないプラスチックのプローブ(歯周ポケットを測る道具)を使って、インプラントの周りに深いポケットがないかを確認します。表面的には何の症状がなくても、深いポケットを有することがあるのです。これは歯周病と同じです。
もっとも大切なのはホームケアがきちんとできているかのチェックです。上手く磨けていない所があればそれをきちんとお伝えし、磨けるようにアドバイスをさせていただきます。
そして、インプラント周囲とお口全体の、プロフェッショナルクリーニング(歯科衛生士による口の中の徹底的なクリーニング)を行います。
もし磨けていない所があり、時間がたっていれば、歯肉(歯ぐき)に炎症を起こしていることと思います。そのように炎症を起こした状態をインプラント周囲粘膜炎といいます。これは粘膜のみの炎症で、まだ骨には影響が及んでいない状態です。
このインプラント周囲粘膜炎のうちに、改善していくことが大切です。
この状態を放置してしまうと、いずれインプラント周囲炎へと移行してしまいます。インプラント周囲炎は、歯周炎(歯周病)と同じで、インプラントを支えている周りの骨が吸収して(溶けて)いくのです。
ポケットが深くなると、当然細菌もそこへ入り込みますので、歯周炎(歯周病)と同じように、インプラントも抜けてしまうことになるんですよ。
レントゲン写真で骨の状態を確認することもあります。インプラント周囲炎になると、インプラント体の周りに黒い透過像が現れます。
インプラント周囲炎も初期の状態で発見し、歯周病の治療と同じようにポケット内のクリーニングを行い、環境を改善すれば回復できます。 ただし、インプラント体のクリーニングは、それほど簡単ではありませんので注意が必要です。
インプラントは単独だと揺れもわかりますが、ブリッジとしてつながっている場合も多いので、揺れに気づかず深いポケットを作ってしまいがちなのです。ですので、定期的なチェックは必ず受けられた方が良いです
かみ合わせもとても大切です。これは歯科医師にチェックしてもらいます。必要であれば、かみ合わせの調整をしてもらいます。歯ぎしりやくいしばりがあり、それがインプラントへ負担をかけているようならば、ナイトガード(夜間に歯に装着する歯のカバー)を作って使用する方がいいケースもあります。
インプラントは見た目も良く口の中での違和感もなく、とてもすばらしいものですが、以上のようにケアが重要であるということなんです。
昨年行われた日本臨床歯周病学会の研修会での話です。来日したアメリカ歯周病学会(AAP)会長の講話後の質疑応答で、日本人のベテラン歯周病専門医がこう質問しました。(現在のアメリカはとてもインプラントが盛んな国です)
「日本はこれからますます高齢化社会となります。インプラントを入れた方が寝たきりになり、インプラント周囲炎になったら、どのように治療すればよいですか?」
…その質問に明確な答えは返ってきませんでした。
AAP会長は、「インプラントはメインテナンスしやすいものである」「最初から予防というものを考慮した治療が必要である」とおっしゃっていました。
つまり、どのように治療すればよいか、ではなく、とにかく予防が大事であるということです。
予防には3段階あります。
第一次予防とは、病気(虫歯や歯周病)にならないようにすること
第二次予防とは、病気がより酷くならないようにすること
早期発見、早期処置を心がけることなんですね。
第三次予防とは、元の状態に戻れるように失った機能を回復させること
インプラントを入れることは第三次予防にあたります。
やっぱり、健康な状態での予防=第一次予防が大切だな~と、研修会に参加する度にますますその思いが強くなります。
APP会長は、「ペリオ(歯周病)の専門医は、患者と長期的にかかわっていかなければならない。」ともおっしゃっていました。全くそのとおりです。
インプラントを入れている方も入れていない方も、歯周病の方もそうでない方も、今担当している患者様方は私が担当し続けられる限りずっと、大切に診させていただきたいと思っています。どうぞよろしく
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