口臭の原因は90%が口の中にあるといわれています。
その90%を占める種々の原因について、それぞれの解消法を考えてみますね。
下の表で自分の口臭の状態とあてはまる症状を選んでから、対応する解消法をご覧ください。
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1-a
重度の歯周病が原因で、周りの人にかなりの不快感を与える口臭。
この場合、本人はなぜか気づいていない
ことが多いものですね。
嗅覚はすぐに麻痺するので自分の臭いがわからなくなるためです。
電車の中で隣に座ったサラリーマンや、玄関先に訪問にきたセールスマンに「わっ!この臭い強烈!」と感じることが度々ありますよね!
重度の歯周病では歯周ポケット内の環境がとても悪く、
歯周病菌である嫌気性菌が増殖していくんです。
すると、揮発性硫化化合物である硫化水素やメチルカプタンなどの臭気ガスが発生し、強い臭気を生ずることになるんですね。
揮発性硫化化合物は、嫌気性菌が唾液・血液・剥離した上皮細胞・食べかすなどを分解するときに発生するのです。
舌苔からは硫化水素の発生が多く、歯周病巣からはがメチルカプタンが多く検出されます。
◎硫化水素は0.3ppmで臭気を感じることができ、3~5ppmでは不快に感じる中程度の強さの臭気がある。
古い下水管で10ppm程度、20~30ppmで臭覚は麻痺し始める。
300ppmでは生命の危機に陥るほどになる。「怖いですね~!!」
こうなったら勇気を出して、家族の方や周りの方が教えてあげてください。
歯周病専門の歯科医院で治療を受けるよう勧めてあげましょう。
部分的に深い歯周ポケットがあると臭いを放つ。
例えば5mmの歯周ポケットが5か所にある、10mmの歯周ポケットが1か所にあるなどの場合です。
そこでは嫌気性菌が繁殖し臭気ガスを放出しますよ。
歯周ポケットの測定とその部分のクリーニングを行うことで、臭いは解消しますので、歯周病に力を入れている歯医者さんへ行って綺麗にしてもらいましょう。
また、虫歯も長い間放置すると、歯の中の神経が死んでしまい、腐敗して臭いを放つようになるのです。根の治療をするか、残根状態であれば抜歯をすることで臭いは解消しますよ。
その中には細菌やその排泄物、はがれた粘膜細胞などが混ざっています。
厚みのある舌苔では嫌気性菌がとても多く検出されています。
嫌気性菌が唾液・血液・剥離した上皮細胞・食べかすなどのたんぱく質を分解して、揮発性硫化ガスを発生し悪臭を放つのです。
ストレスの多い人や唾液分泌の少ない人などは注意が必要!
ストレスが多いと交感神経が優位となり、唾液が粘り気をおび、口の中が乾いた状態となります。
薬の副作用で唾液分泌が少ない方も多いですね。
それらの場合は、適度に舌苔を取り除くことで解消されることでしょう。
いつも臭うわけではないが口の中が乾いている時に口臭を感じるという方。
唾液には洗浄・殺菌作用があるんですね。
唾液が少なく口の中が乾燥していると、それらの作用が滞りますね。
また交感神経優位の緊張した状態や、ストレスが多い状況下では、漿液性唾液(さらさらした唾液)である耳下腺唾液が少なくなり、唾液が粘性を増してくるんです。
あるいはカラカラした乾いた状態になってしまうこともありますね。
逆に副交感神経優位のリラックスした状況下では、漿液性唾液が多く出るので口の中にとってはよい環境となります。さらに口呼吸(口を開けて呼吸)をすると口の中が乾燥してしまうので、なるべく意識して口を閉じ鼻で呼吸をされると良いでしょう。
唾液は分泌直後は無菌状態ですが、分泌後は口の中の環境(歯周病の進行度・歯垢の量・舌苔の量・口腔粘膜の細菌数など)に応じて、徐々に細菌の数が増えてきます。
唾液1ml中には約1億個の細菌が存在しているそうなんですよ。
乾燥することにより、その揮発性ガスが放出され臭いを放つようになるのですね。
まずは口の中の環境を整え(あれば虫歯や歯周病の治療をする・歯磨きをする・舌磨きを行う)
口臭が気になるときは、水を飲む、うがいをする、マウススプレーなどで口中を潤す、舌体操で唾液分泌を促すなどで解消されると思います。
2-b
起床時や空腹時に口臭を感じることがある。
これは生理的口臭といいます。
就寝中は唾液の分泌が抑制されるため、口の中はやや乾いている状態ですね。
そのため口の中の細菌が増殖して、揮発性ガスが放たれるために起床時に口臭が起こるんです。
これは誰にでもある匂いで全く気にする必要はありません。
起きたらうがいなどをすればいいでしょう。
空腹時の口臭もやはり唾液分泌が少ないことによりもたらされます。
食事をすることにより唾液分泌が起こり口臭が改善されますよ。
一部の歯ぐきに指先で触ると指に臭いがつく、デンタルフロスを入れたり、歯間ブラシを入れたりすると臭うなどという場合。
その部分には古い詰め物またはかぶせ物がしてありませんか?
古くなったそれらの隙間から唾液などが入り込み、少しずつ中のセメント(合着材)が溶け、金属が腐食してゆきます。
10年以上経ったもので、そのような症状がある場合は詰め物、かぶせ物を一旦はずして
再治療してもらうことをお勧めします。
腐食した金属を取り除くことで臭いは解消されるでしょう。
また、神経を抜いてある歯は、歯に栄養が供給されないので脆くなっており固いものを噛んで歯根にひびが入ったり、折れてしまったりすることがあるのです。
そのような場合も中で細菌感染が進み、膿を持つことがあります。
膿を持つとやはり臭いを放ちますよ。
自力では絶対に解決しませんので早めに歯科医院へ行って診てもらってくださいね。
3-b
奥歯の方が臭うときは、磨けていない部分の歯周炎か親知らず周りの炎症を疑う。
親知らずは斜めまたは横に倒れて、歯ぐきの中に埋もれていることが多いものですね。
その親知らずと手前の奥歯との間に不自然な空間、あるいは深い歯周ポケットができ、そこに細菌が繁殖し歯ぐきに炎症が起こります。
炎症の結果、膿が出て臭いを放ちますよ。
1-aもご覧ください。
これも歯ブラシが届かず磨けない場所のトラブルなので歯科医院でまず洗浄してもらい、体調のいい時に抜歯などの処置を受けることをおすすめします。
→親知らずの話 をご覧ください。
3-c
歯並びが悪いまたは食べ物がよくはさまる部分が臭う場合。
そのどこかしらにやはり深い歯周ポケットの存在を認めます。
定期的に歯周ポケット内のクリーニングを行うことで、口臭は解消されるでしょう。
食後はデンタルフロスを使い、食べかすをそのままにしておかないようにしてくださいね。
食片圧入といってはさまった物をそのままにしておくと、歯周ポケットを深くしてしまうんです。
さらに歯を支える骨の破壊を引き起こしてしまうことがありますので、くれぐれも注意してくださいね。
理想的には矯正治療を行い歯列を整えるのがベストな方法です。
このように口臭にもさまざまな原因があるので、その原因にあった対処を行うことが大切です。

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