歯周病のバースト説
歯周病ってどんなふうに進んでいくかご存知ですか?
歯と歯茎の境目、歯周ポケットの深さは1~3ミリが正常な状態です。
歯を支える歯槽骨(あごの骨)も歯根を囲むように充分にあり、きちんと歯を支えているのが正常です。
それらがなぜ深くなったり、減ってしまったりするのかは、知っているようで知らない歯周病 で紹介させていただきました。
ではその進行具合、スピードはいったいどれくらいなのでしょうか?
毎日ごくごくちょっとづつ?
それとも一気にドカーンと進むのでしょうか?
「歯周病の進行は,比較的短期間の活動期(進行期)と長期間の非活動期(安定期・休止期)の繰り返しにより進行する」といわれています。
これがバースト説です。
バースト説は今では主流の説です。
ちなみに昔(20世紀前半)は加齢による老化で、徐々に進行していくという考えが一般的でした。
burst バーストには、爆発する・破裂する・突発するなどの意味があります。
どうも歯周病はだらだらと進んでいくのではなく、止まっては進み、進んでは止まりというふうに、静止期→活動期→静止期→活動期を繰り返すようですね。
私は患者さんにバースト説を紹介するときは、「歯周病は階段状に進んでいくんですよ。体調が悪くなったときなどにクッと悪化してしまうんですね。」とお話しています。
活動期の特徴としては
1 プロービング時の出血
2 細菌叢の変化
3 付着レベル(AL)の喪失
4 著しい骨吸収
5 歯肉溝滲出液の成分の変化
などです。
少し説明をしますと。。。
1は、歯周ポケット内で細菌と血液成分が戦っている。→詳しくは歯を磨くと血が出る をご覧ください。
2は、Pg菌などが増殖している。→詳しくは唾液といっしょに歯周病菌を飲むとどうなる? を。
3は、付着上皮がはがされている。これが剥がされると歯を支える組織である歯根膜や骨部分へと破壊が進んでしまう。
4は、破骨細胞が骨を溶かしている。
5は、血液中の免疫成分が多く出ている。
これらは全て生体の防御反応なのです。
自覚症状としては歯ぐきからの出血、歯ぐきの腫れ、咬んだときの痛みや違和感を訴える方が多いように思います。
さて、では活動期は、いつどのようにしてやってくるのでしょうか?
それは身体の抵抗力が弱まったときといわれています。
喫煙や飲食などの生活習慣の乱れや、過度のストレス(長時間労働や精神的ストレス)、
全身的な健康状態(糖尿病や心血管系の病気など)によって免疫反応が変化します。
歯周病は細菌感染症でもあるので、免疫力が下がると細菌と戦う力が低下し、感染症が進行してしまうのです。
また、歯ぎしりやくいしばりなどにより過大な咬合力が加わることで、咬合性外傷が生じ、歯周病が進行する場合もあります。
これなどもストレスが影響していることが多いものです。
体調が良くなり、生活習慣も改善されると、症状が治まってしまうことがあります。
「あれっ、あんなに痛かったのが、そうでもなくなってきたぞ!
歯医者は嫌いだし、まあ、もうちょっと様子をみるか・・・゚゚(´O`)°゚」と思ってしまいがちですね。
しかし、静止しているだけで治ったわけではないのです。
こんなことを繰り返すうちに、階段を一段づつ下へ降りていくことになります。
静止期(安定期)を長くするには、
まずは日頃のブラッシングを丁寧に行い、加えて3~4ヶ月に1度のメインテナンスを受けることです。
歯ぎしりやくいしばりの癖がある方はナイトガードを装着します。
全身の健康管理に留意し、生活環境を整える、といったことを心がけていただくのがベストな方法です!
そうはいってもなかなか思い通りにはいかないですよね。
大丈夫です!できる範囲でがんばりましょう♪ (o^-^o)
バースト説、いかがでしたか?バーストを起こさないように、平坦な安定した状態を長く保つようにしたいものです。
次回はさらにさらにランダムバースト説を紹介いたしますね!
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人生は、バーストだ。
投稿: 戸口 晋 | 2018年7月24日 (火) 04時40分