歯とからだの健康を守る『歯科栄養学』①
「おやつは、羊かん丸ごと1本。食事は三食とも、おにぎりや菓子パン。」
初めて勤めた歯科医院では、予防歯科にて栄養指導も行っていました。
栄養士の資格を持つ歯科助手が何人かいたので、1人の患者さんに数回にわたり栄養指導をしてもらいました。
食事日記をつけていただくのですが、拝見するとたまにびっくりする内容の食事をされている方をみかけます。
冒頭の、「おやつは羊かんを丸ごと1本。食事は3食ともおにぎりや菓子パン。」などです。
そのような食事をつづけていると、やはり全身の健康と、むし歯や歯周病への影響が心配されます。
そこで今回は、歯とからだの健康を守る『歯科栄養学』についてお伝えしたいと思います。
鶴見大学歯学部の花田信弘教授がまとめられた、
歯を守る栄養学と全身の健康
―世界保健機関(WHO)の紀要から―より抜粋させていただきました。
歯を守る栄養学の基本は三大あるいは五大栄養素に対する知識を得て,タンパク質低栄養に陥らないことである。と述べられています。
『タンパク質低栄養と歯周病』
タンパク質は唾液やさまざまな免疫機構の主成分である。
タンパク質低栄養に陥ると唾液や免疫系の機能不全により、生体と細菌の※シンバイオーシスが維持できなくなる。
そのためPg菌などの歯周病菌が増殖する環境になり、歯周病が発症するリスクが高くなると考えられる。
(※シンバイオーシスとは、異なった種類の生物が互いに何らかの利益を交換し合う生活。)
タンパク質が足りないと共生バランスがくずれてしまうのですね
『歯周病の予防と抗酸化物質』
歯周病は、歯周病菌の炎症刺激により過剰に分泌される好中球の活性酸素が歯周組織に与える酸化ストレスにより、組織破壊が生じる疾患である。
酸化ストレスに生体が耐えるには抗酸化物質が必要である。
抗酸化物質
1.生体内抗酸化酵素…加齢とともに減少
2.ビタミン・ミネラル…食事により十分摂取する必要がある
3.ポリフェノール…食事により十分摂取する必要がある
●ビタミンの中で、ビタミンB12、ナイアシン、ビタミンC、葉酸、βカロチン、ビタミンE、コエンザイムQ10は抗酸化物質として活性酸素の消去に関与している。
●ミネラル中では、セレンや亜鉛、銅、マンガン、クロムなどの微量金属が必要である。
●ポリフェノールなどのファイトケミカルは植物由来の抗酸化物質のことである。
抗酸化物質の日常的な摂取は、酸化ストレスから歯周組織を守るために必要である。
このように抗酸化物質は歯周病の予防因子といえる。
日頃から意識して摂り入れたいものですね
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