
今回の年次大会のメインテーマは「歯周病患者におけるインプラント治療」。会場は、はるばる大阪です。朝4時起きして羽田から伊丹空港へ。空港からリムジンで大阪駅へ、そこからタクシーで大阪国際会議場へと向かいました。
まずは認定歯科衛生士対象の講演会場へ。「歯周治療に求められるX線写真の読み方」をテーマに講演がありました。
歯周病の診断・治療においては、口腔内診査とともにレントゲン写真での診断もとても重要です。歯根部や歯槽骨の状態をできるだけ正しく読み取る必要があります。
インプラント周囲炎による骨吸収の画像についても知っておかなくてはなりません。歯周病認定歯科衛生士として、よりハイレベルな画像の読影を教えていただきました。
続いては歯科衛生士教育講演です。全国各地から900名の臨床歯周病学会の歯科衛生士が集まりました。お一人目は天野 敦雄先生。大阪大学大学院歯学研究科の教授です。さすが大阪の先生。とても楽しく、ためになるご講話でした。
テーマは「病原性の高いプラークと低いプラーク」
病原性の高いプラークは少ない量でも炎症を起こす。一方、低病原性のプラークは量が多くても深刻な問題を起こさない。
その例としてこんなユニークなお話がありました。頭がかゆいと元皮膚科の美容院へ行くと「よく洗いなさい。」とクリームをくれておしまいなのに、元歯医者の美容院へ行くと、しつこく洗う練習をさせられる。角度は45゜、染め出してまで洗えていない所をチェックする…。思わず笑ってしまいました。おっしゃる通りで、私たちはプラークというと目の敵にして、100%磨きを目指し、患者さんにもそれを要求してしまいますが、何の問題も起こさない部分のプラークについてはそれほど目くじら立てなくても良いのです。
ここからが大切…。病原性の高いプラークについてのお話です。
ヒトの口腔内には600種類の細菌が生息すると言われている。しかし、600種類全ての菌が一人の口腔内にいるわけではない。26菌種しかいない人もいれば、200種類以上の細菌を住まわせている人もいる。
細菌の種類が増えるにしたがって病原性も高まるのだそうです。200種類以上の細菌を保持している人は、重度の歯周病になりやすいということ。そして、驚くことにその細菌叢は18~20歳ごろに完成するということでした。
成人してから歯周病で苦労しないためには、10代からの適切なプラークコントロールが大切なのだと再認識させていただきました。
天野 敦雄『21世紀のペリオドントロジー』YouTubeに先生のお話があります。
後編につづく

人気ブログランキング
« 医療ジャーナリスト岩澤倫彦さんから取材を受けました。 |
トップページ
| 日本臨床歯周病学会・第35回年次大会に行ってきました。後編 »
« 医療ジャーナリスト岩澤倫彦さんから取材を受けました。 |
トップページ
| 日本臨床歯周病学会・第35回年次大会に行ってきました。後編 »
コメント