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2020年3月21日 (土)

口腔がんを考えるシンポジウムに行ってきました。

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2020年1月19日 日本歯科医師会館にて開催された【地域の口腔がんを考えるシンポジウム】に参加して参りました。

まず話されたのは昨年、舌癌を公表された堀ちえみさんの事でした。

退院後、彼女が書かれた著書「stage for~」には、

 「なぜ通院していた内科医が、なぜ通院していた歯科医師が一度でもいいから癌を疑って早々に基幹病院に紹介してくれなかったのか…。」

「もし少しでも早く紹介してくれていたならば、舌の60%を失わずに済んだのに…。」と書かれています。我々はこの本を読まなくてはいけないんじゃないかとおっしゃっていました。

 堀ちえみさんはリウマチや膠原病の持病があり、免疫抑制剤を服用されていたそうです。

その副作用で口内炎ができやすかった。口内炎を繰り返すうちに癌化していったのではということでした。

通った歯科医院では治療として2回も患部をレーザーで焼いたーそれは癌細胞には火に油を注ぐことになったようです。
 

先月、徹子の部屋に出演された堀ちえみさん。

彼女の声を聞いて、2月に手術をして舌を半分切って移植し10ヶ月かけてリハビリしこの声で喋っている、全く素晴らしいですよ、全く素晴らしいオペの経過だと思います。このかたは来年は歌を歌っているかもしれないと言われていました。

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さて口腔がんにはどのようなものがあるのでしょうか?

いちばん多いのが舌癌56%、他には歯肉癌21%口腔底癌11% 頬粘膜癌6% その他となります。

 

舌癌の早期は痛みも痒みもなく見つけづらいものです。

しかしほとんどが上皮細胞が変異した扁平上皮癌であるため、注意していれば見つかりやすく、予防ができるかもしれないとのことです。

 

正常粘膜からいきなり癌になることはなく、前癌病変という過程を経て癌になります。

 

前癌病変として代表的なものに白板症があります。

綿球で拭って除去できないもので、1割が癌になると言われています。

白板の中に赤いびらんが混じると癌化率が高まるそうです。


口腔がんは進行癌として発見されることが多く、さらに最近は若い女性の癌が増えているとのこと。

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なぜ口腔にがんができるのでしょうか?

 

口腔がん発症のリスク因子として、食生活・生活習慣・ウィルス・機械的刺激があります。

では1つづつ見ていきましょう。

1.食生活ではアルコール、熱い食事、添加物、栄養不良など。

2.生活習慣はタバコ、口の清掃不良など。

3.ウィルスはヒトパピローマウィルス、EBウィルスなど。

4.機械的刺激として狭窄歯列、歯の位置異常、不良な被せ物など。

 

1~3はすべての癌のリスク因子で4が口腔がん特有のものとなります。

 

きっかけは上皮の傷

上皮に傷がつくと基底細胞にスイッチが入る。傷をうめようと細胞が分裂を繰り返す。

遺伝子のコピーを作る際にミスマッチが起こることがあり、それを繰り返すと変異してしまう。

一度の変異では癌にはならないが、何度も繰り返すことによって癌化してしまう。

 

慢性の炎症はそのままにしないことが癌の予防につながるのです。

 

白板症は3か月に1回リコールで管理していく。

白板症自体も硬さがあるのですが、白板の周囲に硬さがあるかを確認します。変な遺伝子を抑えようとする生体の防御反応が硬さとなって現れるのです。

口腔がんの初期の色は赤か白である。

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講師の柴原孝彦先生は「歯科衛生士が口腔がんの第一発見者であるべきです。」とおっしゃっていました。

歯科衛生士はメインテナンス等で患者さんに接する機会が多いものです。

口腔がん予防のために、粘膜に影響を及ぼす歯の位置異常や不良な被せものなどを確認し、粘膜に異常があれば記録・報告を行う。

これからは、いつものメインテナンスの工程にそれらを付け加えることを必ずしていこうと思います。

 

口腔がん 」かな?と思ったらどうすればよいか?

写真を撮る

1~2週間後に必ず来院の予約をする。

2週間後に前回の写真と比較し、改善がなければ専門施設に紹介する。

 

今回の研修会に参加して、口腔を隅々まで診る習慣を持ち、あやしい状態を発見することの重要性を教えていただきました。

 

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口腔がん撲滅委員会

口腔がんシンポジウム

 


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