歯周組織を科学する!
2月28日、臨床歯周病学会関東支部プレミアムセミナーのオンライン講演を拝聴しました。
歯周組織を科学する —どうして歯肉の構造はこうなっているの?—
講師は橋本貞充教授(東京⻭科大学生物学研究室)
明るく楽しい先生で、約3時間半にわたる興味深いお話でした。
- 歯と歯周組織の立体的な構造とその防御機構について、基礎から見直してみる
- どうすれば炎症を予防できるのか?
- 歯周炎の現場ではいったい何が起きているのか?
- そして、治療によってどのように治癒していくのか?
歯周組織の構造と機能について
健康な歯茎では、歯の周りに1mmほどの長さの歯肉溝という溝があります。
「健康な歯肉の歯肉溝には滲出液が満たされておりとても綺麗である。そこにテーパード加工された歯ブラシの毛先(0.2mm)を入れて磨く必要があるのか非常に疑問を感じる」とのこと。
ここ大事ですね!
私たちが日々行っているブラッシング指導において、その人にあった歯ブラシの選択とブラッシング方法なのかどうか、よく考えてみる必要があります。
付着歯肉の組織構造について
かなり詳しく説明されました。
付着歯肉は、次の三つの領域に分けられます。
- 付着上皮(接合上皮)によって歯頚部のエナメル質に接着する上皮性付着
- 歯頚部のセメント質と、歯肉上皮下の膠原線維とを接着する結合組織性付着
- 歯槽骨表面の骨膜と、歯肉上皮下の膠原線維とを接着する結合組織性付着
※付着上皮は接着によって歯の周りを密封する働きがあります。
ここでの印象に残った点は、
- 付着上皮は相手が何にでも、たとえバイオフィルム、歯石でも付着する」
そうか、歯石を取り残しても付着するのか〜!
でもそれは組織にとっては絶対に異物であり、細菌も内包している。後に悪影響を及ぼす事は目に見えていますね。やはりきちんと歯石を取らなければいけないのです。
一方で、
- プラスチックや金属には付着しにくい
つまりインプラントにはつきにくいのです。インプラントを支えているのは顎骨(あごの骨)ですが、歯茎で覆われているため、インプラントの根本部分にはどうしても歯茎の隙間ができてしまいます。なのでそこを丁寧に磨き、清潔にしておくことがとても大切なのです。
第三象牙質について
象牙質には
- 加齢に応じて形成される第二象牙質
- くさび状欠損などの局所的な欠損に対して形成される第三象牙質
があります。その第三象牙質の顕微鏡画像を見せてくださいました。
日ごろの臨床では見られない組織の状態を知ることができ、とても勉強になりました。
次回の御講話も楽しみにしております。橋本先生、臨床歯周病学会のスタッフの皆様誠にありがとうございました。
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