6.歯科セミナー

2020年3月21日 (土)

口腔がんを考えるシンポジウムに行ってきました。

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2020年1月19日 日本歯科医師会館にて開催された【地域の口腔がんを考えるシンポジウム】に参加して参りました。

まず話されたのは昨年、舌癌を公表された堀ちえみさんの事でした。

退院後、彼女が書かれた著書「stage for~」には、

 「なぜ通院していた内科医が、なぜ通院していた歯科医師が一度でもいいから癌を疑って早々に基幹病院に紹介してくれなかったのか…。」

「もし少しでも早く紹介してくれていたならば、舌の60%を失わずに済んだのに…。」と書かれています。我々はこの本を読まなくてはいけないんじゃないかとおっしゃっていました。

 堀ちえみさんはリウマチや膠原病の持病があり、免疫抑制剤を服用されていたそうです。

その副作用で口内炎ができやすかった。口内炎を繰り返すうちに癌化していったのではということでした。

通った歯科医院では治療として2回も患部をレーザーで焼いたーそれは癌細胞には火に油を注ぐことになったようです。
 

先月、徹子の部屋に出演された堀ちえみさん。

彼女の声を聞いて、2月に手術をして舌を半分切って移植し10ヶ月かけてリハビリしこの声で喋っている、全く素晴らしいですよ、全く素晴らしいオペの経過だと思います。このかたは来年は歌を歌っているかもしれないと言われていました。

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さて口腔がんにはどのようなものがあるのでしょうか?

いちばん多いのが舌癌56%、他には歯肉癌21%口腔底癌11% 頬粘膜癌6% その他となります。

 

舌癌の早期は痛みも痒みもなく見つけづらいものです。

しかしほとんどが上皮細胞が変異した扁平上皮癌であるため、注意していれば見つかりやすく、予防ができるかもしれないとのことです。

 

正常粘膜からいきなり癌になることはなく、前癌病変という過程を経て癌になります。

 

前癌病変として代表的なものに白板症があります。

綿球で拭って除去できないもので、1割が癌になると言われています。

白板の中に赤いびらんが混じると癌化率が高まるそうです。


口腔がんは進行癌として発見されることが多く、さらに最近は若い女性の癌が増えているとのこと。

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なぜ口腔にがんができるのでしょうか?

 

口腔がん発症のリスク因子として、食生活・生活習慣・ウィルス・機械的刺激があります。

では1つづつ見ていきましょう。

1.食生活ではアルコール、熱い食事、添加物、栄養不良など。

2.生活習慣はタバコ、口の清掃不良など。

3.ウィルスはヒトパピローマウィルス、EBウィルスなど。

4.機械的刺激として狭窄歯列、歯の位置異常、不良な被せ物など。

 

1~3はすべての癌のリスク因子で4が口腔がん特有のものとなります。

 

きっかけは上皮の傷

上皮に傷がつくと基底細胞にスイッチが入る。傷をうめようと細胞が分裂を繰り返す。

遺伝子のコピーを作る際にミスマッチが起こることがあり、それを繰り返すと変異してしまう。

一度の変異では癌にはならないが、何度も繰り返すことによって癌化してしまう。

 

慢性の炎症はそのままにしないことが癌の予防につながるのです。

 

白板症は3か月に1回リコールで管理していく。

白板症自体も硬さがあるのですが、白板の周囲に硬さがあるかを確認します。変な遺伝子を抑えようとする生体の防御反応が硬さとなって現れるのです。

口腔がんの初期の色は赤か白である。

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講師の柴原孝彦先生は「歯科衛生士が口腔がんの第一発見者であるべきです。」とおっしゃっていました。

歯科衛生士はメインテナンス等で患者さんに接する機会が多いものです。

口腔がん予防のために、粘膜に影響を及ぼす歯の位置異常や不良な被せものなどを確認し、粘膜に異常があれば記録・報告を行う。

これからは、いつものメインテナンスの工程にそれらを付け加えることを必ずしていこうと思います。

 

口腔がん 」かな?と思ったらどうすればよいか?

写真を撮る

1~2週間後に必ず来院の予約をする。

2週間後に前回の写真と比較し、改善がなければ専門施設に紹介する。

 

今回の研修会に参加して、口腔を隅々まで診る習慣を持ち、あやしい状態を発見することの重要性を教えていただきました。

 

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口腔がん撲滅委員会

口腔がんシンポジウム

 


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2019年11月28日 (木)

咬合の世界はこんなにも奥深い

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2019年10月20日、丸茂義二先生の研修会に行って参りました。テーマは「禁断の扉が今、開かれる 〜見える顎位と顎機能の真実〜」

丸茂先生は日本歯科大学名誉教授で、顎関節治療の権威であり、噛み合わせと全身との関わりについて全国で広く講演活動をされています。

咬合の研修会は今回が初めてなので、新鮮な気持ちで参加させていただきました。当日会場を見渡すと、前回の研修会と同じくほとんどが歯科医師で、衛生士らしき人はぽつぽつという感じでした。

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今回、印象に残ったお話が沢山あります!

 

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2019年9月 3日 (火)

始めよう包括的歯科治療

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2019年8月25日、日本臨床歯周病学会の関東支部教育研修会に出席しました。

出席者の9割がドクターで衛生士はごく僅か。始まるまでは少々不安でしたが、出席して良かったと思えた研修会でした。

テーマは「始めよう包括的歯周治療 〜理想的なゴールへ向けて〜」

歯科における包括的治療とは、それぞれの専門性のある分野(歯周治療・咬合治療・矯正治療・審美修復・インプラント治療など)を別々に考えるのではなく、総合的に捉えていく治療であるということです。

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2019年3月11日 (月)

どう攻める、そのペリオ

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2019,2,17 日本臨床歯周病学会 認定医・認定歯科衛生士限定プレミアムセミナーに行ってまいりました。 

於:東京医科歯科大学 御茶ノ水


メインテーマはどう攻める、そのペリオ…ペリオは歯周病のことです。

 

講演お一人目は歯周病指導医、歯周インプラント指導医の鈴川 雅彦先生。クールダンディーな先生と紹介されていたとおりの、落ち着いた雰囲気の素敵な先生でした。

テーマは「理解しやすい歯周病に関するリスクの考え方」です。

 

歯周病を悪化させる因子を歯周病のリスク因子といいます。

リスク因子にはプラーク・喫煙・食事・不眠・過労・運動不足・慢性的ストレスなどが挙げられます。

それらは一つでなく積み重なっていくもので、それをリスクのクラスター化といいます。

中でも歯周病ストレスの関係についてご教示をいただきました。

 

ストレスによる心身の疲弊のことをアロスタティック負荷 と呼びます。

ストレスを感じると神経内分泌系・代謝系・免疫系・心臓血管系の検査値に影響を与えることがわかっています。

 

※アロスタシス(動的適応能)とは変化することで体内環境の安定性(ホメオスタシス)を維持すること。

 

ストレスが続くと唾液の量が減り、口が乾燥しやすくなります。また、歯ぐきを健康に保つ水分である歯肉溝滲出液も減少します。

免疫力の低下により歯ぐきに炎症がおこりやすくなります。歯ぐきから血が出る、腫れてブヨブヨしてくる、痛みが出るなどの症状です。

歯ぐきの血流が悪くなり、細菌と戦う力が弱くなるため歯周病が悪化しやすくなります。

 

こんなにもストレスが歯周病に影響を与えるとは驚きですね!

歯周病の治療にあたっては、プラーク除去だけでなく多重行動リスク因子への介入が必要であるということでした。

 

 

他にも医科と歯科の連携を図るための共通言語で、炎症を示すPISA(periodontal inflamed surface area  mm²)についてのお話も興味深かったです。

 

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現在は歯周ポケットの数値の減少が歯周病の改善の目安となっていますが、将来的にはPISAの数値が2000mm²から300mm²になったということが歯周病治療の成功となる時代が来ると思うとおっしゃっていました。

 

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お二人目は歯周病指導医の吉野 宏幸先生。肉食系男子と紹介されていたとおりの、とてもエネルギッシュな先生でした。

テーマは「歯科衛生士、歯科医師共に考える治療計画の立案」です。

 

まず話されたのは「我が国では歯周病はなぜ放置されているのか!」ということでした。

歯周病は誤嚥性肺炎、動脈硬化、心筋梗塞、など、全身疾患との関係に関する報告も多い。にも関わらず歯周治療が徹底されている医院は少ない。

その理由は様々あるが、治療方針を立案しづらいこともその理由の一つだと考える。とのことでした。

 

重度の歯周病の有病率は、55歳でアメリカ18%、日本38%となんと2倍!

60歳以上ではアメリカ20%、日本56%となんとなんと3倍!

日本は先進国でなく、歯科発展途上国なのでは?と。まさに!!

お話は歯周病患者を減らすにはどうしたらよいか。

歯周治療の考え方とバリエーション、さらに治療計画の立案について、先生の症例なども数多くご紹介くださり、盛り沢山であっという間に時間が経ってしまいました。

私の知り合いに重度の歯周病で大がかりな補綴(ブリッジやインプラントなど)、矯正が必要な人がいたら、吉野先生のところへ行くといいよと教えてあげたいなと思いながら拝聴していました。

 

同僚の由美衛生士さんとも「今回のセミナーも勉強になって色々とおもしろかったね。」と感想を語り合いました。

また明日からの診療に活かせたらと思います。

 


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2018年5月 4日 (金)

日本臨床歯周病学会 関東支部教育研修会に行ってきました

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第80回関東支部教育研究会 2018・4・15 於:一橋大学一橋講堂

一年ぶりの一橋講堂、今回のシンポジウム、テーマは「歯周病患者との向き合い方」

4名の歯科医師と1名の歯科衛生士の発表がありました。

「歯周病症例の難易度の見方」として発表された斉田寛之先生。

同じような大きさの骨欠損を抱える歯周病の症例に対して同じようなアプローチをしたとしても、反応の良い症例もあれば悪い症例もある。そのような治療結果の違いには何が関与しているのだろうか?

ということで症例ごとの個体差を捉えることの重要性をお話してくださいました。

症例の個体差を捉えるためには何を見ればよいのか

罹患度=歯周病のかかりやすさ

進行性=歯周病の進みやすさ

回復力=歯周病の治りやすさ

それぞれが過去・現在・未来を表すと考えると治療方針を立てやすくなるということです。

罹患度は年齢に応じた骨吸収の大きさでみます。

進行性は歯周組織破壊が現在進行形かどうかをみます。歯槽頂部歯槽硬線が不明瞭であると現在進行中なのです。

回復力は年齢や喫煙の有無、歯肉のタイプ、全身疾患などを配慮します。

チャートを利用し、ポジティブファクターとネガティブファクターにどれくらいの比重があるか

また1歯づつのリスクファクターも考慮し、将来の見通しを含めてきちんと説明されるのだそうです。

長期に渡り観察が必要な歯周病治療においては、患者さんにあらかじめ将来の見通しをお話しておくことの重要性を教えていただきました。

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歯科衛生士仲間と近くの美味しいカレーショップでのランチ

午後は日本大学教授 松戸歯学部歯周治療学講座 小方頼昌先生の講演です。

テーマは「歯周病の基礎と臨床」

歯周病は歯周組織への細菌感染に起因する炎症性疾患であるが、環境因子と宿主因子がさらに発症と進行に関与する。

ということで基礎的知識と最新研究を織り交ぜてお話してくださいました。

中でも興味深かったのは、日本人の9割が保有しているというEBV(EBウィルス=ヒトヘルペスウィルス)。このウィルスが歯周病の進行に関与しているのでは?というお話です。

限局性の深い歯周ポケット内にはpg菌とEBウィルスが沢山みつかる

pg菌の出す酪酸がEBウィルスに作用してウィルスが増えるのではないか…。

これまで歯周病は細菌による感染症と言われてきたが、実はウィルスが関わっているのでは?というお話でした。

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この日ちょっと遅れて会場に着くと、講堂から出てこられた谷口先生に「今日のプログラムはどこにありますか?」と声をかけられました。

「入り口にありますよ!」と答えてその場で待機。思い切って写真撮影をお願いすると、笑顔で受けてくださいました。

日本の歯周病学会のレジェンド私のブログ記事 素敵な歯科医師 Part1 歯周ポケット6mm以上の歯周病を基本治療で治す。にも登場する、谷口威夫先生とのツーショットでした

おすすめ書籍  

聞くに聞けない歯周病治療100


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2017年7月10日 (月)

日本臨床歯周病学会・第35回年次大会に行ってきました。後編

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お二人目は
村上伸也先生(天野先生と同じ大阪大学大学院歯学研究科の教授です。
テーマは「歯周病が治る」って、どういう意味? —「治る」と「再生する」を再考しよう—
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歯周病患者に対する治療結果の永続性をめざして
松井 徳雄先生(関西支部)
歯周病治療歯とインプラントの共存を考える
谷口 宏太先生(九州支部)
インプラントを有効に活用するために
石川 知弘先生(関東支部)
3名の歯科医師のご講話を拝聴いたしました。
谷口先生のお話の中で印象的だったのは、来院理由に「GTR法をしてほしい。」という患者さんがいたというお話です。
この方は重度の歯周病をなんとか治したくて、熱心に調べ、この再生療法ができる先生から治療を受けたいというものでした。
歯周基本治療と再生療法の成功で、重度の歯周病が見事に改善し、その状態を何年も保たれているという症例を紹介してくださいました。
「治したい」という強い気持ちがある方は、良い先生に巡り合うことで、進行した歯周病でも改善していくことがあるのです!
今回の年次大会に参加し、また更に得るものがありました。
新しい歯周組織再生材「リグロス」の可能性、歯周病の病因論から見た適切な対処方法、高齢化社会に向けての私たち歯科従事者の役割、等々。
学んだ知識をまた臨床で役立たせていきたいと思います。
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会場で紹介していた本を早速購入、勉強中です!


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日本臨床歯周病学会・第35回年次大会に行ってきました。前編

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今回の年次大会のメインテーマは「歯周病患者におけるインプラント治療」。会場は、はるばる大阪です。朝4時起きして羽田から伊丹空港へ。空港からリムジンで大阪駅へ、そこからタクシーで大阪国際会議場へと向かいました。


まずは認定歯科衛生士対象の講演会場へ。「歯周治療に求められるX線写真の読み方」をテーマに講演がありました。

歯周病の診断・治療においては、口腔内診査とともにレントゲン写真での診断もとても重要です。歯根部や歯槽骨の状態をできるだけ正しく読み取る必要があります。

インプラント周囲炎による骨吸収の画像についても知っておかなくてはなりません。
歯周病認定歯科衛生士として、よりハイレベルな画像の読影を教えていただきました。



続いては歯科衛生士教育講演です。全国各地から900名の臨床歯周病学会の歯科衛生士が集まりました。
お一人目は天野 敦雄先生。大阪大学大学院歯学研究科の教授です
さすが大阪の先生。とても楽しく、ためになるご講話でした。


テーマは病原性の高いプラークと低いプラーク

病原性の高いプラークは少ない量でも炎症を起こす。一方、低病原性のプラークは量が多くても深刻な問題を起こさない。

その例としてこんなユニークなお話がありました。
頭がかゆいと元皮膚科の美容院へ行くと「よく洗いなさい。」とクリームをくれておしまいなのに、元歯医者の美容院へ行くと、しつこく洗う練習をさせられる。
角度は45゜、染め出してまで洗えていない所をチェックする…。
思わず笑ってしまいました。おっしゃる通りで、私たちはプラークというと目の敵にして、100%磨きを目指し、患者さんにもそれを要求してしまいますが、何の問題も起こさない部分のプラークについてはそれほど目くじら立てなくても良いのです。

ここからが大切…。病原性の高いプラークについてのお話です。

ヒトの口腔内には600種類の細菌が生息すると言われている。しかし、600種類全ての菌が一人の口腔内にいるわけではない。26菌種しかいない人もいれば、200種類以上の細菌を住まわせている人もいる。

細菌の種類が増えるにしたがって病原性も高まるのだそうです。200種類以上の細菌を保持している人は、重度の歯周病になりやすいということ。そして、驚くことにその細菌叢は18~20歳ごろに完成するということでした。

成人してから歯周病で苦労しないためには、10代からの適切なプラークコントロールが大切なのだと再認識させていただきました


天野 敦雄『21世紀のペリオドントロジー』YouTubeに先生のお話があります。

後編につづく


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2017年4月29日 (土)

認定歯科衛生士限定プレミアムセミナー2017に行ってまいりました

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テーマは「認定歯科衛生士として知っておきたい歯周外科

 

2017年3月26日(日) 10:00~17:00  於:東京医科歯科大学

「歯周治療において歯科衛生士の行う歯周基本治療は治療結果へ大きく影響します。また、歯周外科処置を効果的に取り入れることで、その結果をより長期的にに安定した歯周組織へと導くことも可能です。今回のプレミアムセミナーでは歯周外科処置への理解を深め、歯科衛生士としてどのように外科処置と関わることが必要か皆さんと学びたいと思います。」ということで一年ぶりのプレミアムセミナーに行ってまいりました。

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 ↑日本臨床歯周病学会 関東支部 Facebookより


演者は臨床歯周病学会認定医で関東支部長の飯野文彦先生、口腔外科のスペシャリスト辻光弘先生、臨床歯周病学会 認定歯科衛生士の小林明子先生です。(写真手前の御三方)

講演① 飯野先生のお話です。

「歯周病治療に最も効果的な治療法はプラークコントロールであり、その実践がない歯周病治療は効果が得られないのが現実です。」

「しかし、セルフコントロールが確立されればすべての歯周炎が改善するというわけではなく、付着の喪失が進行した歯周炎はさらなる改善が求められ、そのオプションのひとつに歯周外科治療があります。」

飯野先生の日常臨床における歯周外科治療の頻度は決して高いとはいえず、歯周病治療の9割は歯周基本治療であるとのことです。

「しかしながら歯周外科処置が歯周病治療に与える恩恵は大きく、取り入れたことによってより理想的な歯周組織環境の獲得と治癒の速さに貢献している事実があります。」

ということで歯周再生療法を主にいろいろな症例をご提示くださいました。

講演② 辻 光弘先生のお話です。

「歯科と全身疾患の関係がクローズアップされる中、歯や口の中だけ診ている時代は終わりを告げ、医療従事者として全身をみることが当たり前の時代に入ってきつつあることは避けようのない現実であります。」

「本講演では指導的立場にある認定歯科衛生士の皆に、口腔を診る前に全身疾患を理解することの重要性、日常臨床で役に立つ知識をできるだけ多くお話したいと考えています。」

辻先生からはBLS(Basic Life Support)一次救命処置の資格を取ることを勧められました。

その他、読んでおいたほうがいい本として「ハリソン内科学」、「歯周病と全身疾患」、「歯科衛生士のための病気とくすりパーフェクトガイド」、「歯科衛生士のための全身疾患ハンドブック」などを教えていただきました。

ハリソン内科学 第4版

歯周病と全身疾患―最新エビデンスに基づくコンセンサス

安心・安全な臨床に活かす!歯科衛生士のための病気とくすりパーフェクトガイド

月刊「デンタルハイジーン」別冊 診療室・多職種協働の現場で活きる! 歯科衛生士のための全身疾患ハンドブック

また、見ておくべき学会のホームページとして、日本高血圧学会日本口腔外科学会 なども教えていただきました。

後半は、認定歯科衛生士として知っておきたい歯周外科というテーマに沿った内容で症例を供覧しながらお話をしてくださいました。

講演③ 小林明子先生のお話です。

「歯周外科後の予後安定は歯科衛生士の働きが大きく左右することになるため、歯科衛生士が外科的治療を理解し、治療計画に介入することは大いに意味のあることだと思います。」

小林先生の診療所では歯周治療計画立案時に、歯科医師とともに率直な意見を出し合いながらカンファレンスを行っているとのことです。

「歯周治療はその予後管理とともに担当は長期間に及びます。私達も年を重ね様々な生活環境の変化を経験しますが、患者さんもライフバランスバックグラウンドの変容、健康の変化が現れます。歯周病認定を持つ歯科衛生士は、あらゆる年代、あらゆる事項に関して常に関心を持ち、勉強し続けていく姿勢を持っていてほしいと思います。

歯科衛生士って素晴らしい職業ですね~とおっしゃっていました。

 

勉強することがたくさんあって大変ですが、少しづつ学んで行きたいと考えております。


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2016年8月 9日 (火)

日本臨床歯周病学会年次大会に行ってまいりました

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今回はプレミアムセミナーにも一緒に参加した同僚のユミさんに、特別に記事を書いていただきました。衛生士歴22年のとても優秀な歯科衛生士さんです。
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猛暑が続きますね。皆さまいかがお過ごしでしょうか?
Yumiさんの後輩同僚の私もユミと申します。
先月、7月8日~10日に福岡で行われた、日本臨床歯周病学会年次大会に行ってまいりました。いろいろな先生方のお話を聞けて大変貴重な時間となりました。そのお話を書いてみたいと思います。
 
9日午前中は10人の歯科衛生士さんによる、ケースプレゼンテーション。
午後は、テーブルクリニックで同時間に講師の先生が講演されていて(はっきり言ってこのタイプの学会講演はいつも何にしようか悩みます。)江澤 庸博先生を選ばせて頂き、『ハイエンドな歯周治療が行えるための必要条件とその教育』。
その後、認定衛生士教育講演では、インプラント治療における歯周治療の重要性、歯科衛生士の役割について。

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10日は、『基本手技から見直そう!』という題材で、鈴川 雅彦先生、瀧野 裕行先生、白石 和仁先生による講演を聞けました。
始めのケースプレゼンテーションで心に残った言葉は、若い世代から、歯周病治療は必要とのことで、女性は妊娠すると、知覚過敏、出血、口臭、Perico(智歯=親知らず周囲炎)等の症状に陥る事があるので、そのような症状に陥らないよう、提唱しましょうとの事です。
ちなみに、早産や低体重出産も、妊娠中期に歯周治療をしても遅いとのことです。
又、成人気管支喘息有する患者で、季節の変わり目に症状がおきてきたのが、歯周病重度の2本の抜歯と4ブロックに分けてSRPの治療予定の、2ブロックしてから喘息がおさまってきた症例。
Ca拮抗剤の血圧降下剤服用歯肉増殖症患者で、プラークコントロールの指導を徹底的に3か月行ってからSRPを行い、α遮断薬に変更しなくても歯肉の状態が改善された症例等でした。
次に、私が尊敬致します江澤先生の話では、全思春期歯肉炎9~12歳の歯肉の炎症のある場合は、侵襲性歯周炎に移行する場合があるので気を付ける事や、歯周病治療を医院内で出来る環境について(器具、機材について)
又、バス法の患者への動かし方の指導は、歯周ポケットに差し込んで丸く動かすようにすると、大きな横磨きにならないことや、歯科衛生士の指導の立場になった時のプロの育て方、理想的な歯科衛生士とは?等お話を聞くことが出来ました。
因みに、江澤先生が考える理想的な歯科衛生士は、“人としての優しさを持っていて、診療介助者としてのベースがある歯科衛生士”です。

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次に認定歯科衛生士講演で、興味深かったのは、鈴木 秀典先生による次のようなお話です。
インプラント部のプラークに対して、補助清掃器具のうち除去効果が大きいものはどれか?という研究をしたそうです。
患者自身が、①フロス②特殊フロス③タフト型ブラシ④歯間ブラシで行った結果は、フロスが一番。
今度は歯科衛生士が①フロス②タフト型ブラシ③歯ブラシ④歯間ブラシで行うと、歯ブラシが一番との事で、
患者の家庭療法における鈴木先生のおすすめは、フロスと歯ブラシだということです。
 
そして最後の講演は、再生療法のお話に加えて、歯周治療の医院でのカギは基本手技だけでなくお互いの専門性を尊重しあう事で、それが成功につながり患者さんにも伝わっていくとの事でした。
 
この2日間内容の濃い学会でした。また、この知識を医院で共有したいと思います。
 
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ユミさん今回はお疲れ様でした&ご報告有難うございました! yumi 
 



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2016年4月21日 (木)

歯科衛生士プレミアムセミナーに行ってきました

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いつもなら桜が満開の3月27日、今年は例年より肌寒く、桜はまだ3分咲き。
お花見より勉強日和の日曜日となりました。

この日は全国から約100名ほどの歯周病認定歯科衛生士が参集しました。

日本臨床歯周病学会 歯科衛生士プレミアムセミナー
(2016.3.27 於:荒川区 太陽歯科衛生士専門学校) 

今回は東京歯科大学名誉教授の下野正基先生と、東京都で開業されている鷹岡竜一先生のご講話です。

テーマは《見えないものを見よう!Part1》

まずは下野正基先生、病理学で著名な先生です。

題名は『上皮性付着について』

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歯周治療をするにあたり、眼で見えているものばかりでなく、直接見えない部分の状態を正しい知識として習得し、それを臨床でどのように活かしていくべきかをお話してくださいました。

下野先生は「歯肉に関しては歯科衛生士が一番良く知っている、プロ中のプロです。」とおっしゃいました。

先生の講和を拝聴するのはこれで2回目です。(素敵な先生たち Part2)←こちら

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内容は長い付着上皮による上皮性付着のお話で、

歯周組織に外科的侵襲を与えた後の再生について

細胞レベルでの接着機構について

ルートプレーニングはどこまでやればいいのか

クリーピングはどのように起こるのか

などなど今回も大変興味深いお話ばかりでした。

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お二人目は鷹岡竜一先生。東京都で開業をされている先生です。

題は『X線から読む未来への手がかり』

患者さんは未来が知りたい!

レントゲン写真を見て、歯周ポケット検査をし、口の中の歯垢を見て、

私たちは「歯磨きをしないからこうなってしまったんですよ。」「骨がなくなっているのでグラグラしているんですよ。」と患者さんの過去と現在を流暢に語りますが、実は患者さんは未来に興味があるということなのです。

「治るのか?治るのにどのくらいかかるのか?」という問いかけに答えなければなりません。

そのために必要なことのあれこれをご教示くださいました。

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午前の部が終わりランチタイム。

会場で知り合った衛生士さん3人と同僚の衛生士との5人でお昼をいただきながら、歯科衛生士話に花を咲かせました。

 

午後は臨床の立場から研究者に質問をするというテーマで、
鷹岡先生が日頃疑問に感じていることの下野先生への質問です。

それは私たち歯科衛生士も考えていることであります。

例えば歯槽骨梁の不透過性の亢進はなぜおこるのでしょうか?

治療によって不透過性が改善してくるのは何が起こっているのでしょうか?

上皮性付着の強さは歯の解剖学的な違いで異なるのでしょうか?

根分岐部病変は有髄歯のほうが予後がいいのでしょうか?

エンド・ペリオ病変の急性炎症時に、X線像では骨の気質がとんで写らないのはなぜでしょうか?

汚染セメント質を臨床的に見分けることは可能か?

根面はどこまで滑沢にすべきでしょうか?

などなどとても興味深く拝聴いたしました。

学んだことをまた日々の臨床に役立たせていただきます。

下野先生、鷹岡先生真にありがとうございました。


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